2009/07/28

エクソシストから何も変わっていない - ミラーズ




「ミラーズ」という映画を見ました。

同僚を誤射して殺害してしまった停職中の警察官ベンが、社会復帰の一歩に選んだのは数十年前に放火されたデパートの警備。そのデパートで消えない手のひらの跡のある鏡を見つけ、次第に鏡の怪異に引き込まれて行く、っていうストーリー。

最初に良かった部分を書いておきます。なんか、風呂入りながらどうやって感想を書こうか考えてるうちにだんだん「あれ?あれ?」って思う部分が出てきたので。

何より良かったのはメインの舞台になるデパートのデザイン。設定がどうやらNYの大型スーパーマーケットの先駆け店のような感じで、エンパイアステートビルのような往年のアールデコ調が焼け落ちた跡がよく再現されていました。鏡が多く、一見不気味ともいえるアールデコはこの映画にはぴったりだったのかもです。

アールデコに関しては以下が詳しいです。写真もすごくいいですよ

http://www.geocities.jp/qaqa3131/artdeco.htm

さて、主演は24のジャック・バウアーでおなじみキーファー・サザーランドでした。ジャックのイメージが強烈なだけに、今作ではどう演じてるのかな、と期待半分不安半分で観ました。

・・・まぁ、案の定ですが元警官とだけあってキャラはジャックそのまま、といった感じでした。ただ、24であったら絶対言わないようなこともガンガン言ってるのでそういう意味ではちょっと面白かった。*1

あと、オープニングが奇麗で良かった。このオープニングを観ながらシンメトリーを思わせました。鏡ってよく考えたらシンメトリーの象徴ともいえるオブジェだな、と。その対称性が失われたらそれは怖いかもしれない、と深く考えたのが間違いでした。

ちょいちょいネタバレ入ってると思うので、まだ観てない人は注意です。

まず、冒頭のシーンですがベンの前任者が鏡越しに殺害される衝撃的なシーンから始まりますが最後まで観ても理由がさっぱり分からない。掴みとしてはいいのかもしれないけど、うーん。事の発端はぶっちゃけ言うと少女なんだけど、少女がなぜそうなったのか全く説明がないまま悪魔*2が鏡に入ったので主人公のベンが理不尽に襲われる。それがいいのか悪いのか。それもあって、前任者が殺されるのが解せないんだし。あと、鏡の中の敵の設定がいまいちよくわからなかった。片っ端から自殺させていけばいいのに*3、ラストではなぜか回りくどく殺していこうとするのもなぁ。途中結構エグい表現だったりしてたから、いろいろ解せない部分が多い。あれだ、脚本が甘い、っていうのかな。詰めがイマイチだったように思いました。

そういう意味でエクソシストからさして変わってないな、と。宗教的に悪魔が絶対的な悪っていうイメージとしてもってこいなのはまぁ分かるんですが、そればっかりじゃなぁ・・・って思わないんでしょうか。向こうの人は。それと対決して家族を守る、っていうハリウッド十八番展開。

うまくまとまっているといえばまとまっているので、、、それなりに面白いです。

ただ、ラストは意外で良かったです。お、そうきたか!と。この主人公の役、ニコラス・ケイジでも十分ハマり役だと思うんだけど、ニコラス・ケイジだったらラストは家族を抱きしめてエンドロールに入って「あーあ!またかよ!」ってなるに違いない。



*1:ジャックが「鏡の中の見えないモノがおれは見えるんだ!」って言ってるところを想像してみて

*2:という設定になっていた

*3:クライマックスまでに2人も自殺させてる

2009/07/21

映画好きにはたまらない - Be Kind Rewind




僕らのミライへ逆回転(原題:Be Kind Rewind)を観ました。

DVD全盛の現在にVHSのレンタルビデオ店BeKindRewind*1の店番を任されたマイクに友人のジェリーは「おれたちを洗脳している発電所を襲撃しようぜ」と持ちかけるが、直前で断られ単身発電所に乗り込むが、感電し体に磁気を帯びてしまう。そんなジェリーが店にやってきてしまい、ビデオが全て消えてしまい・・・。そんな中、ある客が「ゴーストバスターズ」を借りたいと言い出し、貸せないなら店長に電話する、と言われマイクは店のために映画を撮ることを決意して・・・




というようなあらすじです。作中でも後半に著作権に関して裁判所が訪ねてきますが、リアルでも大丈夫なのか、ってぐらいいろんな映画をパロってます。私の知ってるものだけでも

  • ゴーストバスターズ
    • アルミホイルを体に巻いたり、車にぜんぜん似てないロゴ書いたり。笑いが止まらない

  • ラッシュアワー2
    • 公園でそれらしいスタントをやったり、映像を上手くつなげたり

  • ライオンキング
    • 紙を動かしているのに声を付けて撮影

  • ロボコップ
    • 鍋をかぶったり、車の部品を体につけたり

  • 2001年宇宙の旅
    • HALが反乱起こすシーンを白黒反転で撮影したり、回転型の宇宙ステーションでマラソンするシーンをカメラを回転させて撮影

  • キングコング
    • ジャック・ブラック大暴れ

  • メン・イン・ブラック
    • カメラをひっくり返してトンネルのシーンを撮影


などなど、パロディシーンを挙げていくとキリがないくらいです。知らないものもちょっとあったので、観てみようかな、と思いました。

この映画を観ようと思った一番の要因はジャック・ブラックが出てるから、です。JB大好きなんです。スクールオブロックでハマり、ナチョ・リブレも最高で、この映画もJB見たさに観てしまったんです。ジェリーは完全にハマり役で最高でした。JB以外にこの役をこなせる人はいないと思うくらい。

でも、途中から、これって昨今のハリウッドの風刺なんじゃないか?って思わせるような作品だな、と気付いた。金掛けなくたって面白い作品はいくらでも作れるんだぜ、って。それから、ストーリーの持って行き方もすごく上手い。自分たちの作った映画が、町の人を巻き込んでいって町の人も出演する。あぁ、映画ってこういうものなんだよな、って伝わってくる。みんなで作って、みんなで観て、みんなで想いを共有する。映画ってそういうものなんだよな、って改めて気づかされる。そんなの、ネットの動画共有サイトでも出来る、って言う人もいるかもしれない。だけど、ネットは自分は出演出来ない。声や映像を伝えることは出来ても、体温を伝えることは出来ない。他の出演者の体温を感じることは出来ない。でも、町ってのは、ひとつの映画スタジオとしてはすごく優れてるよね。なんでも揃えられるし、ロケもいくらでも出来る。そういった要素を全て含ませて、エンディングで爆発させる。最後は思わず泣いてしまった。普段映画ではあまり泣かないけど、ついグッときてしまった。

ジャック・ブラックファンとしても、一映画ファンとしてもこの映画は素晴らしい、の一言に尽きる。

さて、ぼくも映画を撮ろう。




公式でも、影響を受けたリメイク作品が公開されています。

「人気の国家資格ランキング」

YouTubeでも、Sweded版としていくつか公開されています。


D



*1:巻き戻して返却ください、の意。