2011/12/25

高専とは何か、そしてまた私はいかにして高専に人生を狂わされるようになったか

Kosen Advent Calender最終日、25日の担当のじぐそうです。
福井高専の5年生で、好きなウェブサービスは「tumblr」、好きなアイドルは「Perfume」、最近面白かった映画は「一命」です。よろしくお願いします。詳しくはこちら→about.me/jigsaw
昨日はid:hush_inさんの「きっと何者にもなれない高専生へ、就職活動(生存戦略)しましょうか」でした。
皆さん生存戦略してますかー!(アニメ見てないからネタがわからない)

さて、この記事をお読みになってくだすってるみなさんは「高専とは何か」と聞いてなにを思い浮かべますか?
「なんだっけ....4年制の高校だっけ?」って方はパンピーですね。「5年制で、技術とか学ぶ学校でしょ!」って方は興味はおありになるようですね。「ああ、変態の集まるとこでしょ...」って方は...よく訓練なされているようですね。
Wikipediaの「高等専門学校」の項によると
深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする5年制の学校(抜粋)
とあります。ざっくりと言ってしまうと「5年の間に基礎をガッチリ固めた上で働くときに必要な技術も学べるぜベイベー」っていう学校です。このおかげで、このご時世でも高い就職率をキープできているわけですね。
その他にも、だいたい15-20歳の期間に同じ顔ぶれと毎日顔を合わせ、試験前には助け合い、寮生になると共同生活までするので親交を深めて成熟させることができたりだとか、メッチャすごい先生がいたりだとか、実験が楽しかったりだとか、年に4回しか試験がないから趣味に没頭できたりだとか、ファッキンシットな大学受験がなかったりだとかでいいとこがたくさんあります。もちろん負の面もありますけどね。
でもそれは自分の所属する「◯◯高専」という視点、つまり局所的な視点で見たときのメリットです。
もっと大局的な視点、「全国に50ほどキャンパスがある巨大な学校」と見るとまた違ったいいところがあります。
全国に自分と同じような境遇にいて、メッチャ面白いことしてる人とかがいて、それが「高専」っていうバックボーンが共有できてて交流できるわけです。高専すごい。
それの爆発として「高専カンファレンス」があったりだとか、各種コンテストがあったりするんじゃないかと思います。
引用になるのですが、
「高専」というキーワードは謎の引力をもっている。  via http://kosenconf.tumblr.com/post/13720165401
この「引力」これに尽きます。「高専」ってだけで見知らぬ地で同郷の人に会って盛り上がるような、そんな不思議な「引力」があるように思います。高専すごい。

今でこそこういったことを体感しているけれど、思い返せば5年前はそんなことも露とも知らず受験勉強に励んでいました。この5年で随分遠いところまできたものです。
高専の門を叩く動機は「義務教育の延長みたいな勉強はもういやだ」「親父が行ってた」ぐらいなもんでした。当時はすこぶる素行が良くなかったので推薦などもらえるはずもなく、(当時は隕石でも落ちてきて学校滅べと念じてたぐらいだったので「推薦なんか癪だ、自分の進路は自分で掴みとってやる」ってのが意外とモチベーション高めてた気もする)学力考査に向けてせっせせっせと過去問をひたすら解いていました。
試験後はなぞの自信に満ちていて「絶対合格してるわ」って思ってました。そして、いざ合格発表の日はあまりの腹痛で保健室でダウンしながら「おれはもうだめだ」ってぶつぶつするのを保健室の先生にまあまあと諭されてたら、合格してたので泣きました。

それがたぶん、自分の人生がものすごくいい意味で狂うことが決まった日。Day 1。β世界線。

それから、あっという間に入学式を迎えてF4クラスに配属されました。このFというのは、FundamentalのFです。というのも、ぼくの母校である福井高専では1年生の間は混合学級で5学科の学生が入り混じったクラスで各学科の基礎的な科目や、文系科目などを学ぶという制度となっていたので、担任が体育の先生で、いろんな学科の学生と机を並べてペンを走らせていました。当時は、全然専門科目ないしなんなんだこの制度は!なんて思ってたんですが、年月が経って、各学科毎のクラスに分かれてからもF4クラスの他学科の友人たちと徹夜で麻雀したり、テスト明けに集まってだらだらと飲み明かしたりできて楽しかったなあ、って思えています。同じ学校でも、学科が違えば文化風土が全く違うので、話するだけでも楽しい。先に書いた通り、高専というバックボーンも共有してるし、話はすごく弾むし。
そして、そのF4で同じ学科だった友人に誘われて「Java同好会」に入りました。これも自分の中ではすごく転機だったし、たぶん誘われなかったら同好会なんて入ってなかっただろうしラッキーでした。自己紹介のときに「Javaは特に興味ありません!ぼくはPerlがすきです!」みたいなこと言ったのをなんとなくおぼえています(はずかしい)。この同好会のお陰でたくさんの先輩に出会うことができたし、たくさん貴重な経験をさせてもらいました。いちいち書くとキリがないけど、石川高専の皆さんと合同で合宿したり、カレー売ったり、FMの番組でパーソナリティをしたり、いろいろなことをしました。
今はもうほとんど関わってないけれど、後輩たちがもり立ててくれていると嬉しいなあ。

最後に、学生の本分である、学業の話。だんだん学年が上がって、3年生になって、何度か今自分が何をやっているのかわからなくなって、周りに高専を辞めてきちんと自分のやりたいことやるために進んでいく人がいて、それに比べて自分は何してるんだろうだとか、悩み続けて、でも勉強はしなくていつも追試常連だったりしました。そして、なんとかかんとか進級して、進路を考えたり、未来のことを考えるだけで目眩がするような4年生の終わり頃、すごく素敵な実行委員長挨拶を見た聞いた。→高専カンファレンス014tokyo 実行委員長挨拶
スライドだけでも見てほしいし、できれば動画で見てほしいです。それはもうめちゃくちゃ感銘を受けて、実は軽く泣いていた。自分はなんてもったいないことをしていたんだろうか!高専ってめっちゃいい環境じゃないか!せっかく武器の使い方を教えていただいているのに、自分はなんて不真面目だったんだろう!勉強しよう!そうしよう!ってね。
そして、幾度目かの進級の危機を乗り越え(それはもう大変だった。すごく大変だった。反省の弁と先生への感謝でこの記事の5倍書けるから割愛)無事5年生になりました。
実は、割と最近まで「高専サイコーフッフー」みたいな考えを持っていたけれど、それは全然本質をわかってないな、とある時気付きました。 高専生同士だけでつるんでいては、「高専の強み」が全く意味を成さない。高専生がいないところでこそ「高専の強み」がいかんなく発揮されるわけだし、高専生がいないところで勝負してこそ「高専サイコーフッフー」って言えるんじゃないか、と考え至ったわけです。ついで、まだ社会に出れるほどスキルを磨けてない、つまり、まだ学生でいなければならない。つまり....進学か!というような流れで進学を決意した。
まあ、劣等生だったので親以外は誰にも期待されていなかったけれど、結果的にうまくいってよかったです。高専生クオリティで半年ちょっとで5年分のツケを返して、睡眠時間を削りまくって勉強した甲斐があったかな。きちんと勉強しなおすと、低学年の頃「なんでこんなこと勉強してるんだろう」と思ってた科目が5年目にしてものすごく綺麗に全てつながってそれはもう感動しました。カリキュラムよくできてるじゃん!スゲーよ!って。

さてさて、すっかり長くなってしまったのでそろそろまとめ。
「高専とは何か」という問いに対して僕はまだ明快な解をもっていません。でも、拙い表現だけど「たくさんの仲間と自分の好きなことを学べて社会へ送り出してくれる学び舎」なんじゃないかなあ、と感じています。
最終日に長文乱文失礼いたしました!
これ読んで「高専行ってみたい!」ってちょっと思ってもらったらそれ以上のことはないですし、自分はこう思う!みたいな感想を↓のコメント欄に書いてもらってもめっちゃ嬉しいし、↑の☆+をポチッしてもらっても嬉しいです!
それではみなさん、よいクリスマスを!